サイの多足歩行にかける青春(対テロ戦争とは)
出典: 機動戦士ガンダムSEED Revival
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[編集] はじめに
- サイ
- 今回の話は、ある意味では技術論の域を超えているかもしれない。
- シゲト
- なら話さなきゃいいじゃん。
- サイ
- お前なぁ………せっかく人が話そうとしている時にそれを言うか。
- シゲト
- でもさ、自分で自分の範囲を通り越したって言っているじゃん。そもそも、ここは技術に関する説明の場所じゃん。わざわざ―――――
- サイ
- 一応、テロリズム、主体的に言うならばレジスタンス活動に必要な兵器とかそういう話も登場するから必ずしも的外れな議題じゃないんだ。ただ、そこに辿り着くまでに少し概念の説明が必要だからな。そこはどうしても技術に直結する話じゃなくなるんだよ。
- シゲト
- つまり、技術的な話をする為に長い前置きが必要ってこと?
- サイ
- そういう事。って事で今回は、俺達レジスタンス活動をする者にとっての兵器について説明したいと思う。まずはじめに、俺達の戦っている戦争とは何かを説明してから兵器の説明に入るからな。
- シゲト
- 分かったよ、サイ兄。
[編集] 非対称戦争
- サイ
- 一般に、俺達のようなレジスタンス、つまり非正規軍と、東ユーラシア共和国軍、つまり正規軍との戦闘は非対称戦争と呼ばれている。
- シゲト
- 非対称?
- サイ
- つまり、互いに利害が反目しているから戦闘行為こそなされているものの、互いの戦闘スタンスが大幅に食い違っている状態の戦争の事だ。
- シゲト
- ???余計に分かりませ~ん。
- サイ
- 例えば、今回のメディクス奪還作戦では統一連合派遣軍側は1個旅団を基地防衛に配備するという旧来の作戦、つまり正しく拠点を守るスタンスを堅持していた。
- 一方のローゼンクロイツ側は基地の整備に参加していた民間会社の社員に成り済ます事でその防衛網を突破して司令部を皆殺しにして旅団の集団行動能力を奪い、途方に暮れた旅団を追い出した。
- この時、両者の間で戦略のずれが現れる。統一連合派遣軍側は『攻略にやってきた敵を迎撃する。』スタンスだったのに対して、ローゼンクロイツ側は『敵の司令部を皆殺しにする。』スタンスを取った。このようにどちらか一方にとって相手のスタンスが分からない戦闘をメインに展開される戦争が非対称戦争というわけだ。最近では戦略スタンスがほぼ一致していた戦争なんて九十日革命が最後だろうね。後のレジスタンス活動とかは全てが全て非対称戦に分類されるだろうな。
[編集] 究極の戦争形態
- シゲト
- うーん、つまり『相手が予想しない方法で戦う戦争』ってのが非対称戦争って事?
- サイ
- そういう事。相手の予想している戦い方で挑んでいったらよっぽど用兵が上手くなけりゃ普通負ける。つまり、弱者側は相手の思考の穴を攻める戦争、強者側は自分の思考の穴を埋めていく戦争が非対称戦争だといえる。
- シゲト
- でもさ、俺達の戦術って結構相手にもかなりばれている気がするんだけど………そうなると、非対称戦争じゃなくて普通の戦争になるんじゃないのかな?
- サイ
- そうだな。だから、弱者側は常に新しい戦術を考えなくてはならない。強者側も未知の戦術に備えるという奇妙な安全対策をしなければならない。究極の頭脳戦、それが非対称戦争って事だ。仮に強者側が弱者側の全ての戦術を理解してしまうと、強者側は必然的に自軍戦力が十分安定して獲得できる戦果に収まる事になる。
- 既存の例で言えば、例えば籠城戦のような守備作戦は既に多くの戦史から先述の大部分が互いにとって既知となっている。だから、両軍ともに最も被害を抑える方向に動いて、結果的にあらかじめ予想された最善手の指し合いの結果、均衡状態が生まれる。それで構わないのならどちらもそうするが、それに不満な勢力は多少危険でも揺らめきが起きる戦略にシフトしていく。ある意味では非対称戦争っていうのは戦争としては当然の形態なんだ。両軍とも正常な方法で戦った時に勝敗が見えているんなら、必ず弱者側がこの非対称な戦略に移行するんだ。両軍が正規戦にこだわる場合っていうのは、どちらも正常な方法で勝てる自信があるっていう戦力差がわずかな場合だけの例外なんだ。
[編集] 可能性の潰し合い
- シゲト
- 何となくは非対称戦争の意味が分かったかな。要するに普通に戦っちゃ勝てないから、相手の思わぬやり方で攻めるって事?
- サイ
- 結論からいえばそうなるな。
- シゲト
- で、その非対称戦争の場合の武器ってどんなものなのさ?今回のお題ってそれだろ?
- サイ
- ああ、そうだな。じゃあ、説明しよう。
- まず、非対称戦の最大の特徴とは『可能性の潰し合い』これに尽きる。防御側は可能性をひたすら虱潰しに潰していき、攻撃側はそれを上回る可能性を考え続ける。そういう条件下で考えた時、シゲトならどういう武器の集め方をする?
- シゲト
- いきなりふられてもな………分かんないよ。
- サイ
- 要は可能性を広げたいわけだから、武器はたくさんの種類を集めるわけだ。逆に一つの武器をたくさん集めるような事はしない。武器の多様性が無いと、戦術の可能性も少なくなるからな。
- シゲト
- へぇー。
- サイ
- 集めるのは武器ばかりじゃない。たとえば地域住民の支持、戦域の精密な地図の獲得、世界からの支援等のソフト分野の要素もたくさん集めていく事で、戦術の多様性を増やしていく。ハードとソフト以外にもマンパワーの収集なども重要な要素になる。可能性を多くする為に無数の要素をかき集める。それが、非対称戦争の大原則なんだ。
[編集] 非対称戦争の恐怖
- シゲト
- なるほど。非対称戦争についてよく分かったよ。ありがとうサイ兄。
- サイ
- ちょっと待った。最後にもう少しだけ話を聞いてくれ。
- シゲト
- いいけど、何?
- サイ
- 実はこの非対称戦争なんだがある重大な欠点を抱えている。それは、発展すればするほどに民間人の犠牲者が増える。否、そもそも軍人と民間人との区別が無くなっていくって事だ。
- シゲト
- えっ!?
- サイ
- これは昔から理解はされていた事なんだけど、昔の人達はその為に銃を持たない無辜の民衆を守る為に様々な解釈や法律を立ててきた。古くは王道や騎士道と呼ばれ、現代法体系としてはハーグ陸戦法規や国際戦時法にその努力は結実している。
- だけど、こうやって明後日の方角からの攻撃を求める非対称戦争ではそういう『法律で保護されている民衆』っていうのは一番の死角なんだ。自爆テロなんかは最たる例だよな。それ以外にも、密かにレジスタンスを手助けする占領下の市民とか大小合わせれば武器を持たない敵性の何かっていうのはとても多いんだ。
- もっと拡大解釈をすれば、『レジスタンスを支持する民衆がいるからこそレジスタンスがいる』という極論に達してしまう。その極論に忠実に行動すると、戦略爆撃という敵国の本土を焦土にして敵の補給を断つという外道にまで至るんだ。
- シゲト
- 何だよそれ!いくら戦争に勝つためとはいえ酷過ぎる!
- サイ
- ああ。非対称戦争とはある意味では究極の勝利戦略なんだ。勝利以外の要素を無視した戦略の結果、非人道的な行為が合理的と判定されてしまう危険性を持つ。俺達はある意味では核兵器なんかよりも恐ろしい一面をもった化け物の背に乗って戦っているってわけだ。最低限、そういう事だけは知って戦いたいな。
- シゲト
- そうだね。ありがとう、サイ兄。






