ユウナの良くわかる世界観(デスティニープランというあがき)
出典: 機動戦士ガンダムSEED Revival
目次 |
[編集] はじめに
- ユウナ
- さてと、しばらくぶりに良くわかる講座をはじめようか。
- ソラ
- ちょっと間が開きましたね。何かあったんですか?
- ユウナ
- いやあ、そこはそれ。
- ソラ君も大人になればわかるよ。
- ソラ
- なんか分からないですけど、お疲れ様です。
[編集] 話題になることのない計画
- ソラ
- デスティニープランって、あのギルバート=デュランダルの提唱した計画ですよね?
- ユウナ
- そうだね。
- ソラ君はデスティニープランのことをどのくらい知っているかな?
- ソラ
- う~ん。
- ほとんど何にも知りません。
- ユウナ
- まあ、そうだろうね。
- たった5年前のことだけれど、もうデスティニープランそのものに対して考えをめぐらせている人は今となってはほとんどいないんじゃないかな?
- ソラ
- 今は、それどころじゃないってことなんですか?
- ユウナ
- うん。そういう理由もあるとは思う。
- でも、人々の余裕の無さだけが、理由とも言い切れないんだよ。
- 例えば、比較的余裕のあるオーブでもデスティニープランが話題に上ることは非常に珍しいんじゃないかな。
- ソラ
- ???
- なんででしょうね?
[編集] 与えられた真実
- ユウナ
- そうだなあ。
- その謎を解くには一つの事実を改めて見つめないといけないね。
- つまり、一般の人々はいかにして「情報」を得ているか、ということをね。
- ソラ
- 情報?
- ユウナ
- 言い換えるなら、人々にとっての「真実」とは何か?ということになるかもしれない。
- これはものすごく根が深い問題なんだけれど、多くの人々はその問題の大きさどころか、その問題があることすら気づいていないことが多い。
- ソラ
- 真実???
- ますます分からないです。
- デスティニープランを忘れていることと真実がどう関係してくるんです?
- ユウナ
- そうだなあ。まずはソラ君のオーブに居た頃の話を聞かせてもらえるかな?
- ソラ君は色々なニュースをどうやって知ることが出来ていたかな?
- ソラ
- ニュースですか?
- 普通にテレビで見てましたよ。
- 寮のテレビは大抵オーブ国営放送でしたけど。
- ユウナ
- ちゃんとニュース番組を見ていたんだね。
- 感心感心……といいたいところだけど、そこにちょっとした落とし穴が出てくるんだ。
- ソラ
- 落とし穴?
- ユウナ
- 前回取り上げたロゴスが巨大な資本であり、その制御が実体としてオーブ連合首長国によって成されているというのは覚えてるかな?
- そして、資本によって企業は多くの活動を支えられている。そのため多くの企業の制御そのものをオーブが手にしているという現実を話したね。
- その企業のなかにはどんなものがあると思う?
- ユウナ
- うん。
- セイリッシュのような大企業から中小企業に至るまでおびただしい数の企業の資本としてロゴスは振舞っていた。
- この点は制御がオーブに移ってからも基本的に変化はない。
- そして、この企業連合体の中には、本来そういった権力構造から独立しているべき企業が含まれてしまっているんだ。
- ソラ
- なんだろう?
- ユウナ
- それが「マスコミ」さ。
- ソラ
- マスコミって言うと、テレビ局とか出版社とかですか?
- ソラ
- だったってことは、今は違うんですか?
- ユウナ
- そうだね。
- いくつかの要因が重なった結果なんだけれど、一番の原因はブレイク・ザ・ワールドから始まる一連の災害による景気の悪化だと言えると思う。
- ユウナ
- ロゴス関連企業になるというよりは、ロゴス関連企業しか生き残れなかったというほうが理解しやすいかな?
- つまり、この厳しい景気状況に対応するには、それなりの経済的耐久力が必要だってことだね。
- 結果、多くのマスコミは烏合衆参を繰り返しながらも、ロゴス関連企業と変貌していったんだ。
- ソラ
- なるほど。
- ユウナ
- このことがどれほど危険なことか想像できるかな?
- ユウナ
- ソラ君の発想はすごいな。
- でも、マスコミが煽るまでも無く世界は戦争に満ちている。
- 問題は、その戦争のことをマスコミがどう報道しているか?ということだね。
- ソラ
- 戦争のことを?
- ソラ
- 平和を望む世界に抵抗する悪い人たちがいて、そんな人たちをキラ様たちピースガーディアンが鎮圧したとか……
- でも、ここに来るまでは正直世界中がこんなに戦いに満たされているなんて思いもしなかったです。
- ユウナ
- そう。
- それこそが、マスコミの資本が統一されてしまうことの一番の危険性だと言えるんだ。
- ソラ
- ???
- 何が危険なんですか?
- 世界のことを知らないことですか?
- ユウナ
- 情報が一部の人間にとって都合の良いものだけになっているということがさ。
- 実際、オーブに限らず、今世界中で統一地球圏連合の思想統一ともいえるような情報統制が行われているんだ。
- 結果として、統一地球圏連合の支配下にある一定以上の生活水準を確保している人々の間では、声高に政府を批判することそのものがタブー視されている傾向がある。
- これは、もちろんその生活を維持するために意識的に反政府的な立場を取らないようにしている場合もあるだろうけれども、多くの人々は、そう意識することすらない状態になってしまっているんだ。
- ソラ
- つまり、リーダーはカガリ様が世界をだましているって言いたいんですか?
- ユウナ
- 残念ながら、この情報統制ということに対してカガリ=ユラ=アスハは実態を把握していないと思うよ。
- そういう裏工作を一番嫌う性格だしね。彼女は。
- ユウナ
- そう、まさに矛盾だ。
- 組織のトップが把握するまもなく、世界は統一地球圏連合の都合のいい情報に満たされようとしている。
- あるいは、カガリ=ユラ=アスハ自身もまた、情報によって操られている者の一人なのかもしれない。
[編集] 望まれる真実
- ソラ
- 誰なんです?
- その情報を流しているのは。
- ユウナ
- 情報の流布そのものはさっきも言ったようにマスコミが行っているよ。そのマスコミの資本系がロゴスに依存する形になっていることは、間違いなく政府とマスコミがつながっていることを示していると言っていいと思う。
- でもね、問題の本質はそこにはないんだよ。
- ソラ
- ???
- マスコミの人が悪いんじゃないんですか?
- ユウナ
- うん。
- マスコミはあくまで「都合のいい情報」を流しているだけであって、嘘は言っていないはずだよ。
- 事実ピースガーディアンは世界中で鎮圧活動をしているし、テロが起こっていることも伝えてはいるのだから。
- ソラ
- じゃあ、いったい何が問題だってことなんですか?
- ユウナ
- いいかい、ソラ君。
- これから言うことは、きっと世界の問題の核心の一つであり、かつ現時点ではどうすることも出来ない問題だと思う。
- それでも聞くかな?
- ソラ
- いまさら、ここでお話をやめにするなんてなしですよ。
- ちゃんと聞かせてください。
- ユウナ
- そうだね。
- よし、それじゃあ話そう。
- 一言で言うのなら「人々は都合のいい話しか聞きたがらない」ということだね。
- ソラ
- ???
- ユウナ
- マスコミは確かに統一地球圏連合に都合のいい情報を流布し続けている。
- でも、さっきも言ったとおりちゃんとテロの存在は伝えているし、偏った見方ではあるけれど真実の一面を伝え続けているという側面もある。
- それなのに、人々はこの世界に満ちた戦いに目を向けようとしない。
- 自分達が住んでいる世界がいとも簡単に壊されてしまう砂上の楼閣であると「知っている」にも関わらずにね。
- ソラ
- 目を向けようとしない……
- それは、無視しているって事ですよね……
- なんでそんなことを……
- ユウナ
- 悲しいけど、それは当たり前のことなんだよ。
- 誰だってつらいことからは目を背けたい。
- 誰だって夢見る未来を信じて生きていたい。
- その結果、人々はつらい現実から眼を背け、世界が提供してくれている箱庭の平和に甘んじている。
- 人々が現実に対処しようと思わない限り、マスコミがいくら真実の情報を流したとしても、それはより楽な現実に取って代わられてしまう。
- それが問題の先送りでしかないと分かっていても、人は絶望しかない世界を見つめながら生き続けれらるほどには強くないのだから。
- ソラ
- ……それが「どうすることも出来ない問題」って言うのは……
- ユウナ
- そう。
- この人々は、既にあきらめてしまっているんだ。
- 生きることも。
- 子供達に未来を継ぐことさえも。
[編集] あきらめなかった男
- ソラ
- そんな!……そんなこと……
- ユウナ
- もちろん、全ての人々があきらめているというわけじゃない。
- でも、多くの人は自らの未来を自分の手で切り開いていけるほど強くはないのもまた事実なんだ。
- そして、5年前。
- そんな人々に対して同じように危機感を抱いた人物がいた。
- コーディネイターであったその人物は、コーディネイターが本質的に抱えている最大の問題に直面していた。
- すなわち、コーディネイターの出生率の問題だ。
- ソラ
- 出生率?
- ユウナ
- そうか、ソラ君は知らないかもしれないね。
- コーディネイターは出生率、つまり子供が出来る確率がナチュラルに比べ低いという問題を抱えているんだ。
- 特に第二世代コーディネイター同士のカップルから第三世代が出来る確率は第一世代同士と比べても低くなってしまい、第三世代同士だと、自然妊娠は不可能に近い確率になってしまうんだ。
- ソラ
- ええ!?
- じゃあ、コーディネイターの人たちって滅んじゃうじゃないですか。
- ユウナ
- もちろん、プラントも座して滅びを待っていたわけじゃない。
- プラントは婚姻統制によって出生率の向上を期待できる遺伝子的な組み合わせを持つ男女に対して、婚姻を推奨する制度を施行することによって、全体の出生率の低下に歯止めをかけようとした。
- ソラ
- 婚姻を推奨って……
- そんな……お互いを愛し合って子供が出来るから意味があるんじゃないですか!!
- それを子供を作るために無理やり結婚させるなんて……
- ユウナ
- ソラ君にはまだ実感が無いかもしれないけれど、それでも人は自分の子供を欲するのさ。
- こんな絶望に満ちた世界なら、なおさらね。
- 子供というのは未来への確かな希望の象徴であり、自分がこの世界にいたことの証でもある。
- それを欲するのは生き物として当然の感情なんだよ。
- それにプラントの婚姻統制は最終的には本人達の同意が必要な制度だから、厳密には無理やりってわけじゃなかったんだ。
- ソラ
- それでも、子供が出来ないからって理由で結婚が出来なかった人たちがいるってことですよね。
- そんなの……酷すぎるじゃないですか……
- ユウナ
- そう、酷い現実だ。
- そして、さっき言った人物はその婚姻統制そのものに対して疑問を持っていた。
- きっかけはソラ君の言うように、婚姻統制そのものが生み出す悲劇だった。
- その人物もまた婚姻統制によって恋人との仲を引き裂かれてしまったらしい。
- もっとも公式文書にはそんな記録は残っていないけれどね。
- ソラ
- なんでそんなことをリーダーが知っているんですか?
- ユウナ
- まあ、人の口に戸板は立てられないってことだね。
- 要するに噂ってこと。
- でも、なんとなくだけど、そういうことがあってもおかしくはないかなと思っているんだよ。
- ソラ
- リーダーもそういうゴシップ記事みたいなのが好きなんですね。
- ユウナ
- いや、まあ。
- それほどでもないけどね。
- さて、その人物は結果として婚姻統制を受け入れて、相手の女性は別の男性と結婚をしたらしい。
- それが本当だとすれば、その人物は苦しんだことだろうね。
- ソラ
- ……そうでしょうね……。
- ユウナ
- でも、その人物はそれだけでは終わらなかった。
- そもそもこの婚姻統制という制度は対処療法に過ぎなかったし、何よりもこの制度によって自分と同じように苦しみを感じる人々が大勢いるという確信があったんだろうね。
- ソラ
- それで、どうしたんです?
- ユウナ
- その人物は考えた。
- 自分はこの制度によって苦しんでいる。
- おそらくは相手の女性も同じように苦しんでいるだろう。
- だからと言って婚姻統制を行わなくては、コーディネイターにとっての未来そのものが枯渇してしまう。
- ソラ
- ジレンマですね……。
- ユウナ
- そして、その人物は一つの結論に至る。
- 「こんな苦しみを感じる自分達にこそ問題がある」というね。
- ソラ
- ええ!?
- ユウナ
- 人々はさっきの話にもあったように、都合のいい話しか聞きたがらない。
- 出生率の問題も婚姻統制によって解決すると言う夢のようなことにすがり続けていた。
- それは問題の先送りに過ぎないと言うことを知っているにも関わらずにね。
- その人物は、そんな人々に絶望を抱いたんだと思うよ。
- そして、その人々の中に自分すらも含まれていると言うことは、さらに彼を打ちのめした。
- ソラ
- …………
- ユウナ
- そして、彼はそんな不完全な自分達人類そのものを変えてしまうことを決意する。
- ソラ
- ……まさか……
- ユウナ
- そう。
- その人物の名はギルバート=デュランダル。
- そして、その人類革新を目的とした計画こそがデスティニープランだったんだ。
[編集] 黙秘による守護
- ソラ
- でも、デスティニープランはラクス様達の活躍でとめられたんですよね。
- ユウナ
- 活躍……と言うのはちょっと抵抗があるけれどね。
- ソラ
- とめられて……良かったんでしょうか?
- ユウナ
- 正直、分からない。
- 統一地球圏連合の情報省はデスティニープランの一切の記録を規制しているし、その実体は「悪しき物」というレッテルを貼られ、決して表に出ることはないようになってしまったからね。
- 重要なのは、デスティニープランという一つの可能性に対して、ラクス=クラインはその危険性を説明する前に、武力で制圧したと言う事実だと思う。
- 少なくとも、今に至ってもラクス=クラインはデスティニープランに対する説明責任を果たしていない。
- ソラ
- でも、それは……
- ユウナ
- そう。
- きっとその黙秘は必要なことなんだろう。
- この「あきらめてしまった人々」にとってはね。
- もしかして、デスティニープランがよりよい世界を作ったかもしれないという可能性なんて、彼らにとっては苦痛以外の何者でもないのだから。
- その苦痛を与えないために、統一地球圏連合はデスティニープランの全貌を隠蔽し続けるだろうね。
- ソラ
- …………
- ユウナ
- でもね。
- 僕たちは、あきらめていないんだ。
- この世界を。
- あがき続ける人々の可能性を……ね。
- ソラ
- う~ん……
- 何が正しくて、何が間違っているのか、全然分からなくなってきちゃって……
- ユウナ
- それが当然だと思うよ。
- 重要なのは「知ることを恐れないこと」
- そして、「自分で考えること」
- ソラ君はそれをしようとしている。それが大事なことなんだよ。
- ソラ
- ……はい……。
- ユウナ
- 大丈夫さ。
- まっすぐに、きちんと物事を見ていけば、ソラ君にならわかるさ。
- 僕たちの未来がどこに向かおうとしているかを……ね。
- ソラ
- ……がんばります
- ユウナ
- うん。
- それじゃあ、今回はここまで。
- ソラ
- ありがとうございました。














