ユウナの良くわかる世界観(正しさの意味)
出典: 機動戦士ガンダムSEED Revival
目次 |
[編集] はじめに
- ユウナ
- さて、結構間が開いてしまったけれども久しぶりによく分かる講座をはじめよう。
- ソラ
- だんだん、色々分かってきた気がしますけれど、結局何をどうすればいいのかますます分からなくなってきてしまって……
- 最近は、はじめから何も知らないほうが良かったんじゃって思ったりしますよ。
- ユウナ
- それは良くないな。
- 僕たちがしなければいけないのは、悩むことでも立ち止まることでもない。
- 前に歩き続けることなんだからね。
- ソラ
- それは、そうなんですけど。
- それでも闇雲に歩いていっても、全然違う方向に歩いているような気がして……
- 本当に正しいことを自分がしているのかどうかも分からなくなってしまって……
- ユウナ
- まあ、確かに「正しいこと」を定義することはとても難しいことだよね。
- 特にこんな世の中だ。
- その迷いは当然のことなのかもしれないね。
- ソラ
- でも、迷ってばかりいる間にもたくさんの人が困ったり、もしかしたら死んでしまったりしている。
- 私、そんなの嫌なんです。
- ユウナ
- うん。
- それなら、今回は今までの整理の意味を含めて「正しさの意味」を見つめなおしてみようか。
- ソラ
- ……私、がんばります。
- がんばりたいです。
[編集] 正しさの必要性
- ユウナ
- さて、ソラ君。
- 最初に一つ質問をしようと思う。
- 「正しい」って概念は何のためにあると思う?
- ソラ
- 何のため?
- 「正しいってどんなことか?」って意味ですか?
- ユウナ
- いや、文字通りの質問さ。
- 「正しさ」は何のためのものか?
- 言い換えるなら、「正しさ」が必要になる目的は何か?かな。
- ソラ
- 目的?
- ………みんなが平和に暮らすため……ですか?
- ユウナ
- すばらしい答えだね。
- そう、平和のためといってもいいかもしれない。
- でも、その「正しいこと」の実体は人それぞれ異なるものだということはソラ君はいやと言うほどわかってきたと思うんだ。
- そんなバラバラな「正しさ」は平和をもたらすと思うかな?
- ソラ
- ……思いません。
- ユウナ
- なぜ、思わないのかな?
- ソラ
- だって、誰かの正しさは誰かを傷つけることもあるから……
- ユウナ
- では、どうすればいいかな?
- みんなが平和に暮らすためには。
- ソラ
- みんなが「正しさ」を共有できればいいと思います。
- お互いの正しさの意味を話し合って、より大きな正しさを導き出していけば、きっとみんなが納得できる正しさだって見つかりますよ。
- ユウナ
- 本当に見つかると思うかい?
- ソラ
- ……いえ……。
- ユウナ
- なぜ見つからないんだろう?
- ソラ
- それは………そんなものは本当は無いから。
- ユウナ
- もしくは、在ったとしてもそれが「正しさ」だと理解できないからかもしれないね。
- さて、最初の質問に僕なりの考えを答えようか。
- 僕は思うんだ。
- 「正しさ」というものの本質は社会構造そのものの維持に必要な「必要悪」なんだってね。
- ソラ
- 「正しさ」が「必要悪」?
- ユウナ
- さっきソラ君の言ったとおり、「正しさ」は他の「正しさ」を攻撃するという側面がある。
- これは社会の実体が「国」であればなおさらだね。
- 「国家」という概念はその構成員の多数の幸せの実現のために作られた社会構造なのだけれど、その構造が大きくなるにつれ「多数」の意見というのはぼやけてしまう。
- そのぼやけたものを無理やり形にしたのが政治というわけだね。
- そして、国は国を維持するために他の国を攻撃したり搾取したり「しなければならない」。
- その搾取や攻撃は「悪」だろうか?
- ソラ
- 「悪」かもしれませんけど、それは仕方ないことなんじゃ……
- ユウナ
- そう、仕方ない。それゆえに「必要悪」だと思うんだ。
- つまり「正しさ」とは、生き物が他の生き物の命を喰らって生き延びるように、社会と言う生き物が自らを維持するための本能のようなものなのかもしれない。
- それは食欲や睡眠欲、性欲のような極自然なものなんだろう。
[編集] 正しさの傲慢
- ソラ
- でもそのために、多くの人が搾取されたり、死んでしまったりする。
- ある人は生きる尊厳を奪われてしまい、ある人は生きる目的そのものを奪われてしまう。
- それを「仕方ない」で済ましてしまうのは……私は嫌です。
- ユウナ
- それゆえに人々は隣人を救おうと努力する。
- そしてより多くの隣人を守るためにもまた「正しさ」が必要になる。
- 必要とされた「正しさ」は隣人と他人を区別し、隣人の幸せのために他人を犠牲にすることに対して許しを与える。
- 与えられた許しは多くの他人の命を元にして隣人の幸せを得る。
- ソラ
- やっぱり、私分からないです。
- 何が「正しい」ことなのか……。
- ユウナ
- はっきり言うよ。
- 人は全ての人を幸せにすることは絶対に出来ない。
- どんなに資源や資材などの富が溢れんばかりにあったとしても、全ての人を幸せには出来ない。
- 多様性の確保は生き物としての必然である以上は全ての人が同じ価値観に統一されることはありえないし、あったとしてもそれは生き物としてヒトが非常に危険な状態になっていることを示すものだからね。
- ソラ
- それは……「正しさ」を追い求めることが意味のないことだってことですか?
- ユウナ
- いや、そうは思わないな。
- 実際「正しさ」は多くの人を傷つけているかもしれないけれど、それ以上に多くの人々を救っている側面もある。
- 国が存在しなければ障害者や子供などの社会的弱者は常に搾取されるだけになってしまうだろう。
- 社会は強者のためにあるものではないはずなんだ。本来は。
- ソラ
- 社会は弱者のためにあるべき……ってことですよね。
- ユウナ
- いや、そうではない。
- そうではないんだ。
- 社会は「誰かのため」に存在するわけじゃない。
- あえて言うなら「未来のため」にある。
- つまり「正しさとは未来のためにある」と言う結論になる。
- 僕たちは僕たちの信じる未来のために僕たちの信じる正しさを追い求め続けているというわけだね。
[編集] 罪を背負い続ける覚悟
- ソラ
- そして、その正しさに折り合いがつかなくなったときに、人は戦ってしまう。
- 自分達の未来を守るため……
- ユウナ
- それはとても悲しいことかもしれない。
- さっきも少し言ったように、人に限らず全ての生き物は何らかの命を奪うことを前提に生きている。
- それを「業」と昔の人は表現していた。
- ソラ
- 「業」?
- ユウナ
- うん、「業」だね。
- つまり人は生まれながらにして「罪」を背負っている。
- もっと言うなら「他者の命」を生まれながらにして背負っている。
- 自分が生きているだけで誰かの命が失われていく。
- 人はその罪を自覚して生きていかなければならない。
- それを「業」と言うんだ。
- ソラ
- 罪の意識を背負って生きていかないといけない……ってことですか?
- でも、罪を犯したものが「正しさ」を語る資格なんてあるんですか?
- ユウナ
- 正しさはさっきも言ったように「必要悪」なんだ。
- もっと言うなら正しさとは未来に対する逃避なのかもしれない。
- 人はその罪の深さにいたたまれなくなったときに未来に希望を託すのさ。
- 「正しさ」がその未来への道標だとしたら、人からそれを奪うことは希望を奪うことと同じことだ。
- 「正しさ」は人々が持つことが許される最低限の権利なんだよ。
- ソラ
- 権利……
- 自分が「正しい」と主張することが?
- ユウナ
- いや、自分の「正しさ」を自分の中に持って、それにそって行動することが、だね。
- そして、それは一つの現実を示している。
- 自らの正義によって人々が行動したとき、そこには必ず対立が生まれる。
- そこで、ソラ君に究極の選択をしてみてもらいたい。
- 「希望も戦争もない世界」と「希望も戦争もある世界」
- どちらの世界をソラ君は望むかな?
- ソラ
- 正しさを諦めて戦争のない世界にするか……。
- 正しさを追い求めて戦争を続けるか……ってことですよね。
- …………
- そんなの……選べません……。
- ユウナ
- うん。
- 今のソラ君がそう言うのは「正しい」と思うよ。
- でもソラ君がもっと世界を見て、もっと自分の「正しさ」と言うものを形にしていったときに、必ずこの選択に行き着くことになる。
- その時まで……あまり時間は無いかもしれないよ。
- ソラ
- ……はい。
- ユウナ
- 自らの正義を捨てて、統一地球圏連合という「正しさ」を選択する。
- それは考えることの放棄だ。
- ラクス=クライン、カガリ=ユラ=アスハを失ったとき。
- 統一地球圏連合の「正しさ」は失われることは誰の眼にも明らかだ。
- そのときに正しさを失った人々がどんな行動に出るのか。
- ……想像もしたくないけれども、そこにあるのは悲劇以外の何者でもないはずだ。
- それだけは……それだけは僕は許せない。
- ソラ
- 悲劇……なんでしょうか?
- 正しさと戦争が無くなった世界は。
- ユウナ
- 正しさを失うことは未来への希望を失うことと同じこと。
- 希望を失った人々が、ただ黙々と命を消費していく世界。
- これは、この世界を今まで紡いできた命たちへの冒涜だと思うんだ。
- ソラ
- 冒涜……
- ユウナ
- 僕たちは星の数ほどの先祖達の末裔なんだ
- その先祖達は今の僕たちのように「正しさ」を語り、未来に「希望」をかけてきた。
- その「希望」が「未来を諦めた人々の世界」だとしたら。
- それは悲劇だと思う。
- ソラ
- …………
- ユウナ
- 今回はものすごく観念的な話に終始してしまったね。
- でも、今までの世界がなぜこんなに争いに満ちているのかの原因に迫っていると思う。
- だから、考えてみて欲しい。
- ソラ君の正しさが何なのか、をね。
- ソラ
- ……はい……
- ユウナ
- うん。
- それじゃ、今回はここまで。
- ソラ
- ありがとうございました~














