ユウナの良くわかる世界観(現在の世界が一つになれない理由)
出典: 機動戦士ガンダムSEED Revival
[編集] はじめに
- ユウナ
- 今回は、講座を始める前に言っておく事があるんだ。
- ソラ
- ど、どうしちゃったんですかリーダー、暗いですよ?
- ユウナ
- うん。正直、今回のテーマは重過ぎて僕自身も触れたくない位なんだ。
- でも、君にも知っておいてほしい事だからね。
- ソラ
- ……そんなに大変な事なんですか?
- ユウナ
- はっきり言ってしまうと、現時点では解決策がないんだ。
- いや、下手をすると人が人である以上はどうしようもないのかもしれない。
- ソラ
- そんな事無いと思いますけど…
- みんなで頑張ればきっと方法は有るんじゃ無いですか?
- ユウナ
- ……強いなぁ、ソラ君は。
[編集] 対立する利害の渦巻く世界
- ユウナ
- さて、突然だけど飢えた親子がいるとしよう。
- そしてその手元には一食分の食料がある。
- この場合、どうするのが「正解」だと思う?
- ソラ
- 「体力のある大人」が食べて、体力を回復させてから食料を探しに行く、ですか?
- ソラ
- え!?
- だってそれじゃリーダー達のしてる事って……
- ユウナ
- 但し。「人類全体の生存の為」と言う意味でだけどね。
- ソラ
- それじゃ駄目なんですか?
- ユウナ
- 想像してごらん。
- さっきの状況で、「もう体力の限界が来て幾ばくも無い」友人が目の前に居るとしよう。
- 手持ちの食料を渡せば、もうちょっとだけ生命を繋ぐ事が出来るだろう。
- ソラ
- それならその人にあげるべきです!
- 生き延びるチャンスが増えるんですから!
- ユウナ
- けど、その結果共倒れになる可能性がとても大きくなるとしても?
- ソラ
- そ、それは……
- ユウナ
- この場合でも、やはり正解は「もっとも体力の有る者に渡す」事なんだ。
- 自分が生き延びたければね。
- でも、その結果、目の前で親しい人が成す術なく死んでいく。
- 人間はソレに耐えられる程強くないんだよ。
- ソラ
- そんな……でも……
- ユウナ
- 現在、統一地球圏連合内部でも足並みが揃わないのもソレが原因なんだ。
- 最終的に自分たちに還元されるのはわかった。
- けど、その為に、目の前の飢え死にしつつある友人からなけなしの食料を奪い、
- 会った事もない人達に渡さなければならない。
- 理性ではわかっても、感性は受け入れがたいと思うよ。
- ソラ
- …………
- ユウナ
- 大西洋連合や大洋州他、余力が有る国にしてみれば、
- 「今だってカツカツなのに何で他所の国を援助しなくちゃならないんだ」
- って思うだろうし、
- このガルナハンをはじめ、今だ困窮している国々は、
- 「何で困っている私達を助けてくれないんだ」って思うわけだよ。
- ユウナ
- で、僕達がしていることは、その「体力が有る人に食料を集中させる」枠組みを、
- 地球全域から国家単位までスケールダウンする事なんだよ。
- ソラ
- え?
- でも、それじゃ結局同じ事になるんじゃ…?
- ソラ
- あ!
- その「お釣り」を他所の国へ輸出出来れば…!
- ソラ
- あれ?
- でも、最初に解決策が無いって言ってませんでした?
- 今の話だと、解決するのは凄く大変でも、絶対に無理だとは思えませんよ?
[編集] 国家と国民の断絶
- ユウナ
- うん。それは、とても簡単な理由なんだ。
- 本当に簡単な…でも、ソレだけに救いが無い話なんだよ。
- ソラ
- え?!
- それってどう言う…
- ソラ
- はい。だから戦っているんだ、って事ですよね。
- 正直、戦争は肯定できないですけど…
- ユウナ
- はっきり言うなぁ。僕も争い事は好きじゃないけどね。
- で、ここからが本題。
- 統一地球圏連合と言う大きな枠組みで食料を扱うな、って言うのが、
- 今度は国単位で扱うな、って市民が声を上げているんだよ。
- ソラ
- ええ?!
- ユウナ
- 最初に言ったよね
- 自分達が生き延びる為に、目の前の友人から食料を奪って、
- 赤の他人に渡すのに感覚的に耐えられる人は少ないって。
- ソラ
- え?あ、はい。
- ユウナ
- かつて、僕達は幾つもの「共有できる価値観」を持っていたんだ。
- でも、今ではそれらの殆どは消え去ってしまった。
- 何故だと思う?
- ソラ
- え?うーん…
- 急に言われても…第一、そんなに沢山有ったら共有できているって言わないんじゃ…?
- ユウナ
- まあ、分母が変わらないから一つの集団に属する数は減るけどね。
- 変わりに、何処かしらの集団に属する事が出来たのさ。
- 今みたいに一つか二つの選択肢しかない訳じゃ無かったんだよ。
- でも、今までに3度程僕達は大規模なパラダイムシフトを経験した事により、
- その殆どを捨て去ってしまったのさ。
- ソラ
- 何があったんですか?
- ユウナ
- まず最初が再統合戦争。
- 最後の核戦争と言われたこの戦争で、国家の枠組みが大幅に変わったんだ。
- いや、国家と言うシステム事態が変質したと言っても過言じゃない。
- 詳しくは端折るけど、結果として市民の国家に対する忠誠心を薄める事となった。
- オーブみたいな変り種もあるけど。
- 次がジョージ・グレンの告白。
- あの全世界に向けての告白は、まったく根回しが無い状態で行われた為、大混乱に陥ったのは歴史で習ったと思う。
- そして、その後のコーディネーター・フィーバーの結果、「生命への尊厳」と言う概念が地に落とされた。
- 次に、エピデンス01の発見による宗教界への大打撃。
- ジョージ・グレンの告白とコーディネーター・フィーバーにより当時の宗教界もモメに揉めたんだけど、
- そこへ「未知の地球外生命体」が、しかも、知性体の可能性を示唆する証拠が見つかったんだ。
- これも歴史書に詳しいけど、結果、宗教は「各個人の心の内の祈り」となり、政治的影響力や信者間の繋がりは大幅に減じたのさ。
- ソラ
- うーん…ちょっとイメージしずらいです…
- ユウナ
- ありていに言ってしまうと、「共有できる価値観」で生き残ったのは二つだけ。
- 「経済」と「家族」だけなんだ
- ソラ
- え!?
- ユウナ
- 結果、「金儲けの為なら手段を選ばない」ロゴスと言うシステムが生れ落ち、そして、「社会よりまず家族」という個人主義が横行する事になった。
- ソラ
- だから…ですか?
- ユウナ
- 事が個人の好悪レベルで済めばまだ良かった。
- でも、この「国家と個人の齟齬」は今、致命的な問題を招きつつあるんだ。
- ソラ
- 何が起きてるんですか?
- ソラ
- パックス・アトランティカーナ?
- ソラ
- そんな…自分達が悪いのに…
- ユウナ
- 今まで豊かな生活を送れていたのが、突然困窮したんだ。
- それまでの生活になれていた国民は受け入れがたいだろうね。
- それが、例え支配地域の国民の血で贖われていたとしても。
- ソラ
- ……
- ユウナ
- 他国も似たり寄ったりで、政府の方針を国民が更に先鋭化させる傾向が強くなりつつある。
- 南アメリカ合衆国では、政府より国民のほうがパックス・アトランティカーナに対するアレルギーが強く、
- 大西洋連邦の挙動に過剰反応する傾向が強い。
- まあ、東アジア共和国は国民が国際政治に口を出すことは表向きは無さそうだけど、
- 逆に政府、と言うか軍がどんどん攻撃的になってるね。
- 政府を国民が煽って戦争が起きる、なんてこれ以上はない悲劇だよ。
- ソラ
- プラントはどうなんですか?!
- ユウナ
- 皮肉な話し、プラントがもっとも個人主義がはびこっているんだ。
- もともと、初期の第一世代の親達は、
- 極めて高価な遺伝子調整を子供達に施すだけの財力があった。
- そして、その子供達は、高い能力を持って生を受けると同時に、その財力をも受け継いだんだ。
- しかも、大概コーディネートを行おうとする人達は先進的な思考の持ち主で、
- その影響を子供達も受けていた。
- 結果、プラントは理想郷のような社会を構築し、
- 旧宗主国が必死になって足枷を嵌めようとするほどの国力も得たのさ。
- そして、2度の大戦を経て、国家としてのプラントこそ解体されたけど、
- プラント市民は平和で豊かな生活を享受出来た。
- 結果、プラント外、特に地球への興味を急速に失いつつあるのさ。
- 実際、宇宙では今でも建築ラッシュが続いてて、月の主要都市なんか地球とは別世界らしいし。
- ソラ
- なんとか、なんとかならないんですか?
- ユウナ
- とても…難しいだろうね。
- 正直、政府と国民の齟齬は、その差を縮める事は出来ても、合致させるのは無理なのかもしれない。
- ヒトの業なのかもね。
- ソラ
- でも、諦めちゃ駄目な気がします。
- ちょっとずつでも、みんなで頑張ればきっと…
- ユウナ
- これは…1本取られたな。確かにソラ君の言うとおりだ。
- 君に話して正解だったよ。
- ソラ
- え?!
- ユウナ
- とはいえ、今まで人間は生きてきたんだし、今日明日でどうにかはならないと思うからね。
- 今ここで気に病んでも仕方ないと言えばそうなんだよ。
- だから、そんなに落ち込まなくても良いんじゃないかな?
- ソラ
- え?!
- そんなもんなんですか?
- ユウナ
- いや、脅かしたつもりは無かったんだけどね。
- それじゃあ、今回はここまで。
- ソラ
- ありがとうございました。











